さようなら さえちゃん |
平成14年3月1日 「さえちゃんを助ける会」一同 |
この度、心臓移植手術のためアメリカにおいて待機治療中の渡辺采恵ちゃん(5才)は、2002年2月27日(現地時間午前1時25分)、入院先スタンフォード大学病院でたいへん無念ではありますが、永眠いたしました。 昨年9月、記者会見より始まった「さえちゃんを助ける会」の募金活動でしたが、皆様の温かいご支援のおかげで11月15日に待望の渡米を果たすことができました。渡米直後の采恵ちゃんは入院する必要もない程体調も良く、環境が変わった開放感も手伝ってか、好きなものを食べたり、外に出て近くを散歩したりと日本にいる時には味わえなかった家族団らんの楽しいひと時を過ごすこともでき、全てが順調に進むと確信しておりました。 しかしながら12月中旬、体調不良のため入院を余儀なくされ、以後病状は時には快方に向かっているかのように見える時もありましたが、心臓は明らかに悪くなってきておりその影響で肝臓腎臓の動きが鈍くなり腹水も日に日に溜まり、大変辛い時期が続いておりました。年が明け2月に入る頃には、おなかの大きさが負担になり、ベッドに横たわって眠ることもできず、座ったままウトウトするだけの状態で一日3〜4時間しか睡眠を取れないほど病状は悪化していきました。このようにかなりきびしい状況になっても明日こそはと決してあきらめることなく、また何よりも采恵ちゃん自身の「どうしても生きたい!」という強い意志を支えに持ち堪えて参りました。きびしい水分制限、ラインによる薬物投薬、夜毎に襲ってくる不安と我慢できないくらいの痛み、過酷な治療の日々が続きましたが采恵ちゃんの頑張る姿は現地のドクターやスタッフも驚くほどでした。両親をはじめ日本にいる家族、関係者もひたすら祈る毎日が続きました。 しかしそのような願いにもかかわらずドナー(臓器提供者)は現れず2月17日深夜、突然の呼吸困難のため、集中治療室に入り、以後昏睡状態となってしまいました。その間、まさに壮絶きわまる治療が続けられましたが、両親の必死の呼びかけにも一度も目を覚ますことなく27日、大好きだったパパに見守られ、やさしかったママの腕に抱かれ、采恵ちゃんは静かに永遠の眠りにつきました。 このように非常に悲しく残念な結果となってしまいましたが、最後まで生きる望みを捨てず頑張ったわずか5歳の采恵ちゃん。勇気を持ってすべてを受け止めた両親。そして、何よりも私達を一生懸命心から支え応援してくださった数多くの皆様方。今更ながら命の重み、生きることの大切さ、何にも変えがたい真心のありがたさを痛感いたしております。ここに改めまして皆様には深く感謝ならびに御礼申し上げる次第でございます。本当にありがとうございました。 また、采恵ちゃんの両親は現在、極度の疲労と失意の淵におりますので、どうか心情を察して頂きたくしばらくの間、静かに温かく見守っていただければ幸いです。 最後になりましたが采恵ちゃんのご冥福を皆様と共に心よりお祈り申し上げます。 |
3月6日成田空港にてご両親会見 |